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忘我亭についてお話しします

忘我亭の推進力になっているもの。それは「好奇心」かもしれない。
蓼科という場所に好奇心というアンテナを立てて、気がつけば30年近く経っている。

◎おいしいごはん食べたい→毎日東京まで食べに行くわけにもいかないし、自分で作ろう→作ったらみんなにたべてもらいたくなる→別荘のお客様がぼちぼち来はじめる→グルメな方たちが多いのでこちらも呼吸を合わせるように切磋琢磨する→気がつけばゲストの方々にとって唯一無二のディナーの場になっていた。

◎ディナーに似合う器はどんなのがいいか悩む→白い器では味気ない→ある日、作家に出会う→陶芸家の勝間田千恵子さんや内田鋼一さん、加藤委さん、レギーナ・アルテールさん、ガラスの高橋禎彦さんなどなど〈今ではビッグになっていけれど、当時はみんな20代だった〉→料理と器のコラボレーションはとても刺激的→作品展の開催→ギャラリー

とまあ、こんな感じで、忘我亭はディナーとギャラリーで成り立つことになった。

そして予期せぬことに
マダムの方は13年前から突如、絵を描き始めた。
絵を描き始めると、ギャラリーとしていままで見えないものが見えてきた。
作品は上手い下手ではないんだね。
それは器展をやっていたときにも感覚としてわかってはいたけれど、手応えとして確かなものに。
「心を掴むもの」「グイグイ掴んで離さないもの」それがあれば成り立つんだと。
絵の道を手さぐりで進むにつれて、無名でも感動させる作品を作る人にいっぱい出会うことになった。尊敬するアーティストもいる。

そして、毎年10月には「着想は眠らない展」を開催することになる。今年で11回目を予定。
もう、やめようと思ってもやめられない。
作品を見るとその人の「たましい」が見えて来るから。「たましい」に触れるともう後戻りできない。
魅入られるということばが一番かもしれない。
ここから巣立つ人も出て、腕試しに来てくれる人や、もう大物なのに新たな世界を広げるために参加してくれる人、応援してくれる人もたくさん出てきた。見に来てくれる人もいっぱい。

すべては好奇心からはじまった。

だから・・・忘我亭は色々な顔を持つけれども「何屋さんですか?! 」とは聞かないでください。
これを全部説明すると小一時間かかるし、聞いた皆さんも飽きてくる。
わたしたちもきっと途中で はしょって
「好奇心を美に昇華したモノです」などと訳のわからないことを口走ってしまうかもしれませんから。

2023/1 〈加筆〉

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